30、道教の神々


 「碧霞元君」(へきかげんくん)はやはりMさんの命名の一つ。
98年の展示会に出品されたものにつけられていました。
碧霞元君というのは天仙娘々(てんせんにゃんにゃん)ともよばれる道教の女神です。


 道教は天神崇拝を軸としてたくさんの神々がいます。
時代とともに遷り変わりがあり、5世紀には太上老君(老子)が最高神の扱いを受けていましたが、6世紀になると、玉皇上帝が最高神になりました。
色々な守護神や職能神の他、修練を積んで道を得た人、忠臣、孝行な人、賢人などが仙として名を連ね、さらには民間の俗神が皇帝に認定され、国家が正式に神として祀るようになったものもあって、数百種の神々が信仰の対象になっています。
黄帝、西王母、神農、王喬、関聖帝君(関羽)、鍾馗(五月人形で有名)、斉天大聖(孫悟空)などよく知られている名前が続々。
前に出た「赤松子」(せきしょうし)「太公望」(たいこうぼう)も杭州寒蘭の名前になっています。




 山東省の中部、二市二県にまたがって世界遺産の名山、泰山が平原に屹立しています。
旧称を岱山といい、春秋時代に泰山とよばれるようになりました。
中原の五岳、〔東岳泰山・西岳華山・南岳衡山・北岳恒山(常山)〕の一つで、漢代から聖なる山として尊ばれてきました。
標高は1500メートル余りで、山頂まで6293段の石段が続きます。
登山道の終点は古来天界への関所とされた南天門ですが、1983年にロープウェイができてからは、7〜8分で登れるようになりました。


 古代の帝王は、泰山で天地を祀る最大の儀式「封禅」を行いました。
初めて泰山で封禅の儀式を行ったのは秦の始皇帝で、漢の武帝、唐の高宗や玄宗も封禅を行っています。


 麓の岱廟から頂上まで800余りの祠廟が立ち並ぶ山岳霊場ですが、北宋時代、頂上付近に碧霞元君祠が建てられ、道教の霊場として知られるようになりました。
頂上の玉皇頂には玉皇殿があり、道教の主神玉皇大帝が祀られています。
碧霞元君祠に祀られている祭神の碧霞元君は泰山の女神で、泰山府君(東岳大帝)の娘とされています。
恋愛成就、立身出世、夫婦円満、病気平癒、商売繁盛、子孫繁栄などあらゆる幸福をもたらす女神として絶大な信仰を集め、陰暦5月の娘娘祭には大勢の人がお参りにやってくるということです。


                             (2003/8/21)

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