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                        2005年2月20日
                       

 他人よりすばらしいものを持ちたい。誰も持っていない珍しい蘭を買いたい。マニアなら当然、マニアならずともその気持ちはよくわかります。近頃は中国、台湾、韓国などから、魅力的な品種がインターネットや出版物を通して紹介されたり、展示会で見かけたりする機会が増えてきました。写真を見ると、まん丸のかわいい花型や、ギョッとするような色合いや、一体どうなっているんだと思うような変り花など、手に入るものなら何とかしたいという気にさせられます。


 そんな気持ちを刺激するかのように、大手オークションサイトで盛んに珍しい蘭が売られています。当店のお客様もかなりの方が参加して、花の写真付き、花なし苗木を入手しています。どの写真も、こんな花は日本では見たことないというようなすばらしいものですが、そのうち二人のところで3株に花が咲きました。咲いた花は全くの別物で、色も形もまるで似つかぬものでした。


 これら写真の花は、実際中国ではびっくりするほど高値の上、品物も数がないので、オークションに流れてくる可能性はほとんどありません。お金持ちのマニアの棚に納まればおしまいになる筈です。疑問符がつきながらも、もしかして自分だけはすごいものを安く買えるかもしれないと、つい手を出してしまうのでしょう。


 苗木では花がつくまでに最短でも1年、ほとんどはさらに年数がかかります。オークションの評価は、代金と出品した品物のやり取りが迅速、正確であればいいのであって、確かに写真の花が咲く品種かどうかは問われませんし、それが偽ものだということを証明するのは大変です。手間ひまかけて交渉した挙句、不愉快さが残るだけです。もちろんオークション全部がそうだというわけではなく、本当のお買い得もあるでしょうが、要注意の出品が数多く出ているのも事実で、仲間内ではある出品者のものには手を出さないようにという話が伝わっています。


 蘭は、何年も見てよくわかっている株以外は、花を見て買うのが原則です。貴重な品種などで花なしを分けるときは目の前で割るなど、間違いを防ぐための方法をとるべきです。昔から蘭は人を買えともいいます。近くに蘭を扱う店のない地方の方などには便利この上ないインターネットですが、苦い思いをしないためにも、十分に注意をしたいものです。



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