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 □ 5、ついにパソコンがやってきた。


 8月も下旬、店の夏休みも終わった。
秋が深まれば又忙しくなるし、同じ買うなら寒蘭展の案内状に間に合うようにしたい。
準備の時間を考えるとタイムリミットだった。


「考えるより実物に触ってみることですよ。
まず買ってこないと、何にも理解できませんよ。
定休日に一緒に下見に行きませんか?」
 郊外の大型パソコンショップに誘った甲斐はあった。
やはり実物を見るものだ。
「素人が使うにはどれだって同じだから、デザインとか好き嫌いで選びなさい。」
という専門家のアドバイスももらっている。
 一渡り見て廻った社長は、液晶ディスプレイのデスクトップ、ソニーVAIO PCV-L310/BP2のスマートな外見に一目ぼれだ。
サイズも合格、あそこに置ける。
プリンタはエプソンに決めた。

 
 その日はカタログをもらって帰り、1週間後の定休日には、ついに私が車に積んで買ってきましたよ!!


 近所の電気屋さんに専用コンセントを増設してもらい、例のワゴンも、目出度くお弁当用からパソコンデスクへと昇格した。
ケーブルをつないで、予定の場所にパソコンとプリンタが鎮座ましましたのは、あのホームページ宣言から約4ヶ月後の1999年8月30日のことだった。


 パソコン購入からは急転直下の進展だ。
その日のうちにパソコンのセットアップ、翌々日はプリンタのセットアップ。
プロバイダーは東急ケーブルテレビに決定したが、9月1日に契約して、工事の予約は13日だった。
 

 それまでインターネットはできないから、社長には電源の入れ方、切り方、マウスの使い方、キーボードの説明などをして、とりあえずワードで文章を打つことを練習してもらった。
せっかく買ったパソコンだ。
70才社長の意欲満々の挑戦は始まった。
私としても、やや強引に勧めた責任上、大いなる無駄遣いに終わらせるわけにはいかなかった。


 パソコンの前にワープロを使っていた私は、なんとか基本の操作はできるが、理屈を聞かれると説明できない。
操作方法だけの教え方では満足できない社長は、理論的な説明を求めるが、にわかインストラクターの私には無理な相談だ。
レッスンはいつも、
「どうして?ということは聞かないで下さい。」
で終わるのだった。


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