□ 20、ドットコム 2001年秋、寒蘭展が始まった。 今年は割合花が早めで、展示会の日程にピッタリ。 早々と咲き出した杭州寒蘭もあって、シャッターチャンスを逃さないように、写真を撮っていく。 当店メインの杭州寒蘭目当てのお客様も、カメラを片手に集まるようになった。 お客様に、 「デジカメでどんどん撮って、写真集をもっと更新してくださいよ」 と言われるが、HPはもうプロバイダーであるイッツコムの制限10メガぎりぎり。 今までも更新のたびに、写真の大きさを少し減らしてみたり、総量を確かめながら、恐る恐るやっていたのだ。 もうこのくだらないページはカットしようかな。 でも、これをやめても写真1枚分にもならないし・・・。 文字だけの軽いページであっても、これから増えていくばかりで減ることはない。 いっそ、春蘭、えびね、杭州寒蘭と、季節ごとに写真集を衣替えさせようか。 などと話し合っていた時、ちょうどきていた昔からのお客様のSさんが、 「レンタルサーバーを借りたらどうですか? うちも使っていて営業の人を知っているから、よかったら紹介しましょうか?」 といってくれた。 レンタルサーバーがどういうものなのかもわからないが、話を聞いてみると別に何の問題もなさそうだ。 料金が別にかかることを社長にOKしてもらって、USENの人に来てもらうように、手配をお願いした。 これまでも困ったときはなんでもお客様に解決のヒントをいただいてきた。 本当にありがたいものだと思う。 11月28日、USENの中原さんが来店して、SiteServeの説明をしてくれた。 早速申し込んで登録証の到着を待つ。 今度は一気に容量が増えるし、アクセスカウンターもつく。 アクセス数は知らぬうちが花かもしれないが、怖いもの見たさでやっぱりつけてみよう。 1週間ほどして、登録証が届いた。 suzuki-engei.com だ。 店もドットコムことを願いながら新しいサイトの設定をする。 2001年12月7日、今までのイッツコムの方はすべて削除して、移転のお知らせだけのページを送り、SiteServeにHPをアップロードした。 カウンターをつけるところでちょっと戸惑ったものの、なんとかなったようだ。 確認すると、000001という数字が出ている。 本体は今まで通りだから何も変わりはないのだが、HPを始めて以来の大変革だった。 今までのHPが折角検索で出るようになっていたのに、こればかりは仕方がない。 新しいURLが紹介されるようになるまで、今まで見てくださった方が引き続き見るだけだろう。 それより、広告に出しているURLを変更しなくてはならないし、名刺も刷りなおさなくては。 何かが変わると、それに伴って仕事が増えるものだ。 今度のは大容量だから、このページも危うく命拾いして存続することになった。 写真集のページも増やせるので、杭州寒蘭の写真を撮るにも張り合いがある。 えびね展の頃に新しく買った背景のグラデーションペーパーもきちんとセットし、三脚を使って毎日撮っていく。 今まで喉元まで一杯だったお腹が、急に空いて食欲が出たようなものだ。 ところが、デジカメの写真に問題があった。 カメラはNIKONのCOOLPIX950を使っていたが、杭州寒蘭やえびねの写真を撮ると、赤い色は出るが緑色が出ない。 あれこれ光を変えて撮ったり、色調補正をしてみるが、それらしい色にならなかった。 緑の色が黄ばんでいたのでは、ヒスイ色を誇る杭州寒蘭の写真としては困る。 これまで「杭州寒蘭写真集」だけは、デジカメで撮影しないで横山さんの写真をスキャナで取り込んでいたのはそのためだったのだ。 詳しい人に話を聞くと、どうもメーカーによって色が違っているらしい。 デジカメは一般的に人がきれいに写るのが基本だから、赤味が強い方が、元気で生き生きとした写真に見え、青みが強いと顔色が悪く見える。 そこでカメラの方で黄色みや赤みを強くするよう修正してしまうらしいのだ。 全部のカメラを試してから買うわけにいかないから仕方がないが、これでは杭州寒蘭の写真に向いていないかもしれない。 人物や風景はとてもきれいに写るのだが。 ソフトで修正するのは技術が必要で手間もかかるし、難しくてなかなか思い通りにはいかない。 別のカメラで撮ったのと比較したくて、試しに自分用に買ったCANONのPowerShotS40で撮ってみたら、多少青みが強いものの、緑の葉や花弁もきれいな色に写っている。 同じ場所、同じ条件でオートシャッターを押しただけなのに、これだけ色が違うと、今までの悪戦苦闘は何だったのかと思う。 もっとも緑色の微妙な違いを要求されるなんて、デジカメにしたって迷惑な話だろうが。 早速社長に頼んでこのカメラを買ってもらう。 ちょうど2年しか使っていないカメラを買い換えるのだから、もったいない気がして気が引けるが、杭州寒蘭真っ盛り、ぐずぐずしていたら花は待ってくれない。 マニュアルを見ながら、新しいカメラに早く慣れなければと、毎日咲いてくる花の撮影に追われる。 写真がたまってきたところで、杭州寒蘭写真集4と5を追加した。 パソコンはなんてお金がかかるのだろう。 技術がすごい勢いで進歩して、いやでもお金がかかるようになっているらしい。 今回無理やりカメラを買ってもらった。 その甲斐があるような写真を撮らなくては。 そう決意した途端、次々と不幸が襲ってきたのだった。 |