Ubudの義理堅い人々
すべて2004年のデータです。情報はすぐに古くなります。


バリにはカスタ(カースト)があります。今回泊まったMenara Homestayの方々はサトゥリア(クシャトリア)なので、宿で経験したことが全てのバリニーズに当てはまるかどうかは分かりません。でも定職をもって頑張っているスードラにも、とても親切な人々がいるから、生活に困窮している人々をのぞけば、バリニーズは基本的に義理堅いんだと思います。いかがでしょう。

今回は2度、宿の親戚のプトゥおじさん(なんと77歳!運転上手でびっくり)の車をチャーターしました。そのとき2度とも姉妹(一度はその息子も)が一緒についてきて、2度とも私が全員の昼食代をもちました。もちろん昼食代を持つ必要なんて全くありません。私が昼食代をおごろうと思ったのは、それまでに色々と彼女たちのファミリーにおける微妙な立場や、収入のなさを聞いていたからです。プトゥおじさんの奥さんも毎週欠かさず病院に行かなければならない状態でした。「持てるものが持てないものにおごる」というのが東南アジアスタイルなので、ツーリストという傲慢な立場からではなく、単純に定職のある人間としてそうしてあげたくなったんです。

彼女たちもおごってもらうべきではない、ということは大変よく分かっていたようで、2回とも一度は断られたし、帰ってからもしきりに恐縮されました。そのたびに「Please keep your money」と言いました。職がなくて居候させてもらってる立場なら、お金が出て行かないに越したことはないはずですから。

彼女たちは私が持っている水には一切手をつけませんでした。飲んだら?と差し出しても絶対に飲みません(カスタが違うと同じ水は飲まないとかそのたぐい?)。デンパサールの市場では友達からたのまれていたグラメラをプレゼントしてくれましたし、タナロットでのコピもおごってもらいました。タナロットまでの長距離ドライブにそなえて日本からのトイレットペーパーを持参したら、それを彼女たちは必要に迫られて使いましたが(ティッシュ代わり)、翌朝新しいトイレットペーパーを部屋の前に置いてくれました。

手作りのドーナツやサテがテーブルにさりげなく置かれていたり、帰る前日にはわざわざお祭り用のイエローライスなど、豪華な昼食を作ってくれました。翌日がサラスワティだったので、またすぐ作らなくちゃいけないのに、です。

しかも帰るときになったら、姉からバリコピとサロン、妹から帯のプレゼントまでもらってしまい、結局おごった昼食と同等かそれ以上のものをお返しされることになるんだなぁ、としみじみとバリニーズの義理堅さを知ったわけです。


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