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  五月の下旬から七月上旬にかけて咲くウチョウランは、小型野生蘭のなかでももっとも魅力のあるもののひとつです。この時期は花物がすくなく、また蘭であることが高級感を与え、手のひらに載せて鑑賞できる可愛らしさから、女性も含めて大変なブームになりました。       すずき園芸の展示会もことしで22回になりますが、当初は初日でほとんど売り切れという状態が続いたものです。値段もうなぎのぼりでした。1球が100万円をこしたものも、一つや二つではありません。ウチョウランのある山はたちまち丸坊主になり、危険な崖で命を落とした人も毎年のように出ました。
     
  山になくなれば当然、人工交配が盛んになります。バイオテクノロジーが騒がれだしたころとも重なって、猫も杓子もフラスコ培養をはじめました。貴重だった白花も高い確率で作れるようになり、また「虹」「月輪」のような名花が世に出てきました。交配熱はさらに燃え上がります。      人工交配のいい面は、白花なら白花をたくさん作れること。当然、求めやすい値段になってきます。山で採れた紅一点花は、はじめ花形が悪くても最低十万円だったのが、いまの人工交配ものでは、千円しないで買えるものがたくさんあります。切り花感覚で楽しむ人たちも増えてきました。
    
  ここまでは大変いいことずくめだったのですが、世の中、なかなかほどほどにはいかないようです。ウチョウラン同士の実生だけでは飽き足らないで、ごく一部にしか自生していないアワチドリ、クロカミラン、サツマチドリなどウチョウランの亜種も交配に利用しだしました。   天然では見たこともない仁王系の大きな花や円弁の連舌花などが、これでもかこれでもかと作られて、いささかウンザリします。ウチョウランの優しい木姿は剛直な姿に代わり、どうにも花と調和しません。変わったもの、珍しいものを求めて交配することにケチをつけるつもりはありませんが、今の傾向はどんなものでしょうか。
   
  最近は原種の花が懐かしくて、少しずつ集めていこうと思っています。ウチョウランにはウチョウランのよさ、サツマチドリにはサツマチドリのよさがあるはずです。小さい蘭ですから一本では寂しいですが、十本立ち前後になれば見事です。このごろバタ臭いハイブリットから原種に惹かれるのは、年をとったせいでしょうか。      ウチョウラン類は順調に育てば、前年の1・5倍から1・8倍に球根が増えてくれます。始めの一二年はさみしいですが、三年目ぐらいから見られるようになり、五年もすると見事な絵になります。親、子、孫、ひこ孫、さらにその子と、鉢の中でバランスよく並んだ様は、作る楽しみを満喫させてくれます。
   
  ウチョウランには、白花、白紫点花、紫一点花、紅一点花、それらの連舌花、長舌花、円弁花などがあって変化に富んでいます。紫が基調の花色にも紅系、桃系があり、最近はブルー花もでています。これもいいあれもいいと集めていると、すぐ二三十鉢になってしまいますが、鉢が三号か三.五号ですから、畳半畳もあれば作場にことかきません。      都会で作るにはうってつけの花といえます。どうです、あなたも挑戦してみてはいかがですか。その気になったら作り方をクリックしてください。


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