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  東洋蘭とは 日本、韓国、台湾、中国とその周辺に自生するシンビジウムで、ほとんど加温を必要としないもの、といわれています。加温する洋蘭のシンビジウムは、あらかたが人工交配で、にぎやかで豪華ですが、東洋蘭は自然が生んだ野生の産物で、その中から美しい花、特徴のある花、希少性のある花や葉を採取して、何百年も前から愛培してきた古典園芸のひとつです。   人間が作った花も結構ですが、そういうものから園芸を始めた人たちが、次第に野生の蘭にのめりこんでいくのはなぜでしょうか?自然の偉大な力としかいいようがありません。
 日本では一口に東洋蘭といいますが、本場中国では花のつき方で二つに分けられ、ひとつの花茎にひとつの花を付けるのを蘭とよび、二つ以上の花を付けるのを(けい)といいます。だから寒蘭は本来なら`寒'というべきなのでしょうが、日本ではすべてごっちゃにして蘭一本槍で片付けています。
     
  日本で最も有名な蘭の古典本[蘭華譜]は、小原京華堂の小原栄次郎氏の手によるものですが、これを作るにあたって一番頼りにした文献が中国の[蘭寶ャ史]だといわれています。民国12年(1923年)に発行されたこの本は、愛好家にとっては垂涎の的で、完本はバブル時代かなりの高値で取引されたそうです。   余談ですが、開店当時にお客様からいただいた「蘭寶ャ史」は、私には猫に小判でしたが、店の信用という点で大変役に立ったことでした。
     
  さて、十数年前に中国春蘭から始まった価格の下落は、次に日本寒蘭、日本春蘭と広がり、今がどん底の時期でしょう。25年前、花付き3条で1000万円といわれた寒蘭の「豊雪」が今では10万もしないし、1本100万だった中国春蘭の「寰球荷鼎」は1万円でも高すぎるほどです。だから考えようによっては今が大チャンスといえます。   高嶺の花だったものが、向こうからとびこんできてくれたのだから、やらない手はないのですが、値段が下がると恋心もたちまち薄れてしまうようです。花のよさは昔も今も変わらないのですから、そういう人は値段にほれていたとしか云いようがありませんね。投機園芸とはよくも言ったものでした。
     
  でも、もう投機の時代は終わったのです。これからはいかに上手に作るかでしょう。見事な出来栄えが、人気を呼び、価値を高め、愛好家を増やすことになります。素晴らしい作りを競い合う展示会があちこちで開かれるといいですね。当店もお客様出品の人気コンクールを今年も続けます。   人気1に選ばれた人は、欅窯(三橋 俊治)の蘭鉢を、当店から贈ることにしています。奮ってご参加ください。
   
  つぎに推薦したい品種(花物)をあげてみます。


中国春蘭 宋梅、西神梅、万字、賀神梅、老代梅、翠桃、集円、竜字、汪字、
翠一品、大富貴、翠蓋、寰球荷鼎、楊氏素、玉梅素、老文団素、
張荷素、緑雲、珍蝶、蘂蝶、余胡蝶
日本春蘭 多摩の夕映、光琳、万寿、天心、女雛、天紫晃、紫宝、翠苑、大虹、
南紀、日輪
一茎九華 大一品、極品、程梅、南陽梅、温州素、金おう(山へんに奥)素



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