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  文献によると、過去に何回かえびねブームはあったのですが、昭和になってからの爆発的なブームは40年代に始まったようです。今から30年程前です。当時は10人のうち、えびねが分かる人は一人いるかいないかでしたが、今では知らない人の方が少なくなっています。それほどの勢いで広まったのですから堪りません。ブームは即えびねの受難につながりました。     高度成長期と重なったこともあって、価格はうなぎのぼりとなり、山にあるえびねは手当たり次第に乱獲されて、今ではまったく無いと言っていいほどです。ブームの頂点(昭和50年代)のときは、ちょっとしたものでも10万台、100万円を越すものもざらでした。えびねの学名のカランセはラテン語で「美しい花」という意味で、誰もが愛し、夢中になったのです。
  えびねブームに水を差したのは、ウイルスの被害とバブル経済の崩壊でした。特にウイルスの害は関東を中心に、燎原の火のように広がりました。綺麗な花は見る影もなくなり、えびね作りを諦める人が増えたのでした。えびねの専門店でスタートした私も、一時はえびねをやめることまで考えたほどです。幸いに今では鼻歌まじりで楽に作れるようになりましたが、今度はバブル経済の崩壊が足を引っ張ります。それと人工交配の普及です。   素晴らしかった天然ものは、増えてきたこともあって二束三文になり、逆に交配ものが高値を呼んでいるのが現状です。フアンも二派にわかれてきました。天然ものを固執する人たちと交配ものに走る人たちです。どちらを選ぶか、あるいは両刀使いでいくかは各人の自由ですが、天然ものが粗末に扱われて、この地球からどんどんなくなっていくことだけは確実でしょう。
  いま天然ものにこだわっている人たちは、ニオイエビネに夢中です。葉には光沢があって花がないときでも観葉植物として楽しめるこのえびねは、伊豆七島の御蔵島を中心に限られた島にしか自生していません。数もすくなく、増えにくいから奪い合いになっています。舌が白い方の[濃紫香]など天文学的な値段だそうです。ないものねだりはよく分かるのですが、どんなものでしょうか。   日本えびね業者組合は天然ものの名品の保存と普及にも努めています。人工交配ものにはない、魅惑される何かがあると思うのは私だけでしょうか。以下推薦できる天然ものの名品をあげてみました。


サツマ 織姫、光琳、小町姫、神紫光、金鳥
ヒゼン 伶人、繊紫舞、桔梗の姫、紫雲麗、日向、春酔、楊貴妃
ヒゴ 白雄、豊春
コウズ 暁星、国宝、紅妃、神秘、天紫香、日光、浦島、紫式部、墨染、雪舟、
緑苑、紫聖、御蔵黄梅
ニオイ 天上白、虞美人、大洋(大納言)、華清宮、御蔵源流
タカネ 薩摩紅
ジエビネ 渡川の幻、太陽、右近、銀鈴、川奈の光
キエビネ 王冠
キリシマ 白妙、坤晴
その他 白鳥の舞、せせらぎ、十六夜



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